この記事は交通事故直後の対応をまとめたガイドです。
緊急時は119番通報を最優先し、安全確保後にこの手順をご確認ください。
はじめに、なぜ「72時間」が重要なのか
交通事故の対応には「ゴールデンタイム」があります。
特に最初の72時間での行動が、その後の治療や補償に大きく影響します。
なぜなら、以下の重要な要素が時間と密接に関係しているからです。
- 法的手続きの期限:警察への届出や保険会社への連絡
- 医学的根拠:むちうちなどの症状は72時間以内に現れることが多い
- 証拠保全:時間が経つほど事故状況の証拠が失われる可能性
そこで、この記事では事故直後から72時間以内に必ず行うべき5つのステップを、時系列に沿って詳しく解説します。
重要な免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言や医学的診断を行うものではありません。
以下の点にご注意ください
情報の利用について
- 本記事の情報は一般的な参考情報です
- 個別のケースでは医師・弁護士等の専門家にご相談ください
- 記事内容の利用によって生じた損害について当院は責任を負いかねます
医療行為について
- 当院は柔道整復師による施術所であり、医療機関ではありません
- 当院は診断・投薬・手術等の医療行為は行えません
- 診断書の作成は医師のみが可能です
法的手続きについて
- 保険手続きや法的判断については、専門家(弁護士・保険会社)にご相談ください
- 記載内容は一般的な情報であり、個別のケースでは異なる場合があります
緊急時の対応
- 生命に関わる緊急事態では迷わず119番通報を最優先してください
- 本記事の内容よりも現場の状況に応じた適切な判断を行ってください
- 1. 【STEP 1】事故直後(0~30分):安全確保と緊急対応
- 1.1. 二次災害防止が最優先
- 1.2. ケガの応急処置
- 1.2.1. 出血がある場合
- 1.2.2. 首・背中の痛みがある場合
- 1.3. 緊急通報の判断基準
- 1.4. 110番通報(警察)
- 2. 【STEP 2】事故現場(30分~2時間):情報収集と証拠保全
- 2.1. 相手方の情報収集チェックリスト
- 2.2. 現場の証拠保全
- 2.2.1. スマートフォンで記録
- 2.2.2. メモで記録(ボイスメモも活用)
- 2.2.3. ドライブレコーダーの確認(車やバイクの場合)
- 2.3. 目撃者の確保
- 2.4. 絶対にやってはいけないこと
- 3. 【STEP 3】事故当日(2~24時間):医療機関受診と保険手続き
- 3.1. 医療機関での診察(必須)
- 3.1.1. 痛みがなくても必ず受診する理由
- 3.1.2. 受診する医療機関の選び方
- 3.1.3. 診断書の取得と保管
- 3.2. 整骨院での専門的なケア
- 3.2.1. 医師の許可が前提条件
- 3.2.2. 当院での初期評価
- 3.3. 保険会社への連絡
- 3.3.1. 自分の保険会社
- 3.3.2. 相手方の保険会社
- 3.3.3. 保険会社対応の注意点
- 4. 【STEP 4】事故翌日~3日目(24~72時間):症状の経過観察と治療開始
- 4.1. 症状チェックシート
- 4.2. 整骨院での施術について
- 4.2.1. 整形外科と整骨院の役割分担
- 5. 当院の施術アプローチ
- 5.1. 施術の前提条件
- 5.2. 治療計画の立案
- 6. 【STEP 5】72時間後~:継続的な対応と記録管理
- 6.1. 治療記録の管理
- 6.1.1. 保管すべき書類
- 6.2. 症状・治療記録の管理
- 6.2.1. 症状日記の作成
- 6.2.2. 写真による記録
- 6.2.3. 通院記録の管理(Excel等で整理)
- 6.3. 保険会社との継続的な連絡
- 6.3.1. 定期報告のタイミング
- 7. 72時間を過ぎてからの注意点
- 7.1. よくある失敗例と対策
- 7.1.1. 長期化する場合の準備
- 7.1.2. 通院回数・期間の目安(参考データ)
- 8. 絶対に忘れてはいけない5つのポイント
【STEP 1】事故直後(0~30分):安全確保と緊急対応
まず最初に、何よりも重要なのは安全確保です。
パニックになりがちですが、冷静な対応が後々の処理をスムーズにします。
二次災害防止が最優先
事故直後は、まず以下の安全確保を行ってください。
- 車両を安全な場所に移動(可能な場合)
- ハザードランプ点灯・三角表示板設置
- 負傷者の確認(動かさず、意識確認のみ)
ケガの応急処置
次に、負傷者がいる場合の応急処置を行います。
ただし、専門的な処置は避け、以下の基本的な対応にとどめてください。
出血がある場合
- 清潔な布(ハンカチ・タオル)で圧迫止血
- 傷口を心臓より高い位置に保つ
首・背中の痛みがある場合
- むやみに動かさず、そのままの姿勢を保つ
- 救急隊の到着を待つ
緊急通報の判断基準
以下の場合は迷わず119番通報
- 意識を失っている人がいる
- 明らかな外傷・出血がある
- 激しい痛みを訴えている
- 車両が大破している
110番通報(警察)
【通報時に伝える内容】
- 発生場所(住所・目印となる建物)
- 発生時刻
- 負傷者の有無
- 車両台数・損傷状況
- 通報者の氏名・連絡先
⚠️ 注意: 軽微な事故でも必ず警察に連絡してください。後日、むちうちなどの症状が現れた際に、事故証明書が必要になります。
【STEP 2】事故現場(30分~2時間):情報収集と証拠保全
安全確保が完了したら、次に重要なのは証拠保全と情報収集です。
これらの作業は、後の保険手続きや示談交渉で重要な役割を果たします。
相手方の情報収集チェックリスト
まず最優先で、相手方の情報を確実に収集しましょう。
感情的にならず、冷静に以下の項目を確認してください。
- 氏名・住所・電話番号
- 運転免許証番号
- 車両ナンバー・車種・色
- 保険会社名・契約者名・証券番号
- 勤務先(業務中の場合)
現場の証拠保全
情報収集と並行して、事故現場の証拠保全も重要です。
時間が経つほど証拠が失われる可能性があるため、可能な限り多くの記録を残しましょう。
スマートフォンで記録
- 車両の損傷部位(複数角度から)
- 現場の道路状況(見通し・標識・信号機)
- タイヤ痕・落下物
- 周辺の監視カメラの位置
- 車両のナンバープレート
- 時刻が分かる画面キャプチャ
メモで記録(ボイスメモも活用)
- 事故発生時の天候・時間
- 双方の速度(推定)
- 事故の経緯(時系列)
- 会話の内容(相手の発言など)
ドライブレコーダーの確認(車やバイクの場合)
- ドライブレコーダーの有無
目撃者の確保
- 氏名・連絡先を聞く
- 可能であれば証言をスマートフォンで録音
- 目撃者が立ち去る前に警察に引き合わせる
絶対にやってはいけないこと
- ❌ その場での示談交渉
- ❌ 「大丈夫です」など軽はずみな発言
- ❌ 責任の所在を決める発言
- ❌ 金銭の授受
【STEP 3】事故当日(2~24時間):医療機関受診と保険手続き
現場での対応が終わったら、次は医療面と保険手続きの対応です。
たとえ軽微な事故でも、この段階での対応が今後の治療や補償に大きく影響します。
医療機関での診察(必須)
まず何より重要なのは、医療機関での診察です。
「痛みがないから大丈夫」と考えがちですが、これは大きな間違いです。
痛みがなくても必ず受診する理由
- アドレナリンの作用で痛みを感じにくい状態
- むちうちは24~72時間後に症状が現れることが多い
- 診断書は警察・保険会社への提出で必要
受診する医療機関の選び方
- 整形外科:レントゲン・MRI検査、診断書発行
- 救急外来:夜間・休日の場合
- 総合病院:重症の疑いがある場合
診断書の取得と保管
【診断書で確認すべき項目】
- 傷病名(頸椎捻挫、腰椎捻挫など)
- 治療期間の見込み
- 就業制限の有無
- 後遺症の可能性
💡 ポイント: 診断書は警察提出用とは別に、必ずコピーを保管してください。
整骨院での専門的なケア
医師の許可が前提条件
- 整骨院での施術は医師の診断・許可が必要です
- 整形外科との併用通院が基本となります
- 保険会社への事前連絡も必須です
当院での初期評価
- エコー検査で筋肉・靭帯の状態を確認
- 可動域検査・筋力測定による詳細評価
- 手技療法・物理療法による症状軽減
💡 重要: 整骨院では診断書の作成はできません。医師による診断書取得後に施術を開始いたします。
保険会社への連絡
医療機関での診察が済んだら、続いて保険手続きを開始します。
適切な順序で連絡することで、治療費の心配なく治療に専念できます。
自分の保険会社
- 事故発生の連絡(24時間以内)
- 人身傷害補償の確認
- 弁護士特約の有無確認
相手方の保険会社
- 治療費の直接支払い(一括対応)の依頼
- 担当者の氏名・連絡先を確認
- 通院予定の医療機関を報告
保険会社対応の注意点
- やり取りは全て記録に残す(メール・書面)
- 電話の場合は日時・担当者名・内容をメモ
- 過失割合について安易に同意しない
- 不明な点は弁護士特約の活用を検討
【STEP 4】事故翌日~3日目(24~72時間):症状の経過観察と治療開始
症状チェックシート
以下の症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診
部位 | 症状 | 緊急度 |
首・肩 | 痛み、こわばり、可動域制限 | 中 |
頭部 | 頭痛、めまい、吐き気 | 高 |
腰・背中 | 痛み、しびれ | 中 |
手足 | しびれ、握力低下 | 高 |
全身 | だるさ、不眠、食欲不振 | 中 |
整骨院での施術について
整形外科と整骨院の役割分担
- 整形外科:診断・画像検査・薬物療法・診断書作成
- 整骨院:手技療法・物理療法・運動指導(医師の許可の下で)
⚠️ 整骨院通院の注意点
- 医師の許可なしでの通院は保険適用されない可能性があります
- 定期的な整形外科での診察も継続してください
- 診断書作成は医師のみが可能です
当院の施術アプローチ
当院では交通事故施術の経験豊富なスタッフが、保険手続きのサポートから施術まで全面的にお手伝いいたします。

施術の前提条件
- 医師による診断と施術許可が必要です
- 保険適用には保険会社の承認が必要です
- 定期的な医師の診察を継続してください
※当院での施術は医師の診断・許可が前提となります。まずは整形外科での受診をお済ませください。
- 急性期症状への適切な対応
- 個別の症状に合わせた施術計画
- 日常生活復帰へのサポート
治療計画の立案
【初期治療の目標設定】
- 急性期症状の軽減(1~2週間)
- 日常生活への復帰(1~2ヶ月)
- 職場復帰の準備(症状に応じて)
- 後遺症防止のためのケア
【STEP 5】72時間後~:継続的な対応と記録管理
72時間を過ぎると、急性期から回復期へと移行します。
この段階では、継続的な記録管理と適切な治療継続が重要になります。
治療記録の管理
まず、今後の保険請求や後遺障害認定に備えて、全ての書類を適切に保管しましょう。
保管すべき書類
- 診断書(原本・コピー)
- 診療報酬明細書
- 通院証明書
- 事故証明書
- 保険会社との対応記録
症状・治療記録の管理
症状日記の作成
- 痛みの程度(10段階評価)
- 痛む部位・時間帯
- 服薬の有無
- 日常生活への影響
- 仕事への影響
写真による記録
- 外傷がある場合は経過写真を撮影
- 毎回同じ角度・同じ時間帯で撮影
- 日付入りで保存
通院記録の管理(Excel等で整理)
- 通院日・治療内容・症状の変化
- 担当者からのアドバイス
- 次回予約日
保険会社との継続的な連絡
定期報告のタイミング
- 症状の変化があったとき
- 医療機関を変更するとき
- 仕事を休む必要が生じたとき
- 治療期間が延長になったとき
72時間を過ぎてからの注意点
よくある失敗例と対策
- 症状を軽く見てしまう → 軽微でも必ず医師に相談
- 通院を自己判断で中断 → 医師・治療家と相談の上で判断
- 保険会社の言いなりになる → 不明な点は弁護士に相談
長期化する場合の準備
- 後遺障害診断書の準備
- 弁護士特約の活用検討
- セカンドオピニオンの検討
通院回数・期間の目安(参考データ)
- むちうち症: 平均20~30回/3~4ヶ月
- 腰部捻挫: 平均15~25回/2~3ヶ月
- 打撲・挫傷: 平均10~20回/1~2ヶ月
⚠️ 上記は一般的な目安であり、症状や個人差により変動します
まとめ:72時間の行動が今後を左右する
交通事故直後の72時間は、その後の治療や補償に大きく影響する重要な期間です。
絶対に忘れてはいけない5つのポイント
- 安全確保と警察への通報(痛みがなくても必須)
- 証拠保全と相手方情報の収集(後々のトラブル防止)
- 医療機関での診察と診断書取得(症状がなくても受診)
- 保険会社への適切な連絡(治療費の確保)
- 症状の経過観察と適切な治療開始(後遺症防止)
最後に、交通事故は誰にでも起こりうる出来事です。
この記事が皆様のお役に立てることを願っておりますが、何より大切なのは、まずは冷静に行動することがが大切です。
また痛みや不安を一人で抱え込まず、専門機関を頼っていただければと思います。